味噌は大別すると、「米味噌・麦味噌・豆味噌・その他の味噌」に分けられます。石川の味噌は、米こうじと大豆と塩を混ぜて仕込む米味噌です。米味噌は全国的に広い地域で造られており、甘口・辛口、赤色・黄金色など味や色などさまざまな種類に分けられ、わが国で生産されている味噌の約8割を占めています。
「加賀・能登の味噌」は、金沢の尾山御坊をはじめ加賀・能登の寺院で造られていましたが、前田利家公が金沢城に入城してからは戦時のための貯蔵品として一層盛んに造られるようになりました。当時味噌は全国的には自家醸造が一般的でしたが、金沢では「味噌蔵町」という地名があるように、藩政中頃には早くも味噌を売る店があったといわれています。商売の成立はさらに味の追求に力が注がれる結果になったことは言うまでもありません。
「加賀・能登の味噌」を一段と楽しむコツは、味が濃厚なので味噌汁はやや薄めにたてることです。さらに、味噌汁の実は魚の切り身や貝類などを一品選ぶと味が一層引き立ちます。あっさりと仕上げる場合は、大根やごぼう、里芋などの甘味の出る野菜と油揚げが適しています。また、白味噌、八丁味噌とのミックスもよくマッチします。
「能登の味噌」
水分が多くて軟らかく、塩辛いのが特徴です。水分が多いのは取り扱いが楽だということと、かつて溜まりをしょうゆの代用としていた地域があったことに由来しています。また、能登には不作への備えとして味噌を三年間貯蔵する習慣があり、そのためには塩分の高さが求められました。それが結果的に魚介類などのうまみを引き出したのです。
現在では溜まりをしょうゆの代用とする必要もなくなりましたが、自家醸造も工業生産も能登の味噌の特徴を守り、魚介料理に最適な高水分高塩分の味噌を造っています。
「加賀の味噌」
長時間じっくりと熟成させた天然味噌が多く、北陸の味噌の中でも特に米こうじを多く使うため濃厚で、米の糖分が特徴。色は山吹色、味はやや辛口です。いかにも田舎味噌といった趣の味噌で、味噌汁を作るとおわんの底に一部粒状の大豆が残ることがあります。
現在金沢を中心に造られている味噌は、水分が多く軟らかい特徴は同じですが、色は淡く、味噌汁にこうじが浮くことはあっても豆が丸ごと残ることはほとんどありません。総じてこうじが多く、時代に合わせて改良されたうまみの強い味噌となっています。
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